業績推移
業績の推移(百万円)

売上高 営業利益 % 経常利益 % 当期利益 % 一株利益 一株配当
財務
財務・CF(百万円)  2020/12/31
総資産 2,373,188 営業CF 0
純資産 505,614 投資CF 0
自己資本比率 0.2 % 財務CF 0
資本金 205,924 現金等 0
四半期推移表
四半期 1Q 2Q 3Q 4Q
前期 今期 前期 今期 前期 今期 前期 今期
累計 1Q 1-2Q 1-3Q 1-4Q 会社予想
前期 今期 前期 今期 前期 今期 前期 今期 今期
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トピックス
リスク・対策
2 【事業等のリスク】

当社グループは国内外において多岐にわたる事業展開をしており、これらの企業活動の遂行には様々なリスクを伴います。本項では以下において、当社グループ事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しています。ただし、当社グループで発生するすべてのリスクを網羅しているものではありません。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の有価証券に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容もあわせて、総合的かつ慎重に検討した上で行う必要があると考えています。

なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

1 事業環境に関するリスク

(1) インターネット業界の成長性について 

当社グループは、主にインターネット業界において、国内外で多様なサービスを提供しています。

世界のインターネット利用者数の増加、ec(電子商取引)市場の拡大等を背景として、当社グループサービス流通総額、利用者数等は今後も拡大傾向にあるものと認識していますが、インターネットの利用を制約するような法規制、個人情報管理の安全性を中心としたプライバシー及び情報セキュリティに対する問題意識の拡がり等の外部要因、景気動向、過度な競争等により、インターネット業界全体及びec市場の成長が鈍化し、それに伴い当社グループサービスの流通総額等が順調に拡大しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合について

インターネットの利用者数の増加に後押しされ、多くの企業がインターネット関連サービスに参入し、サービス形態や商品カテゴリーも多岐にわたっています。また、当社グループの運営するインターネット関連サービス以外のサービスについても多数の事業者が参入しており、激しい競合状況にあります。

当社グループは、引き続き、顧客ニーズ等への対応を図り、サービス拡大に結び付けていく方針ですが、これらの取組が予測通りの成果をあげられない可能性や、画期的なサービスを展開する競合他社の出現、価格競争の激化、その他の競合等の結果、当社グループの売上高の成長が鈍化する可能性があるほか、設備投資や広告宣伝費等の費用の増加を余儀なくされる可能性もあり、かかる場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業界における技術変化等について

当社グループがサービスを展開するインターネット業界においては、特に技術分野における進歩及び変化が著しく、新しいサービス及び商品が頻繁に導入されており、当社グループのサービスにおいてもこれらの変化等に対応していく必要があります。しかしながら、何らかの要因により、当社グループにおいて当該変化等への対応が遅れた場合、サービスの陳腐化、競争力低下等が生じる可能性があります。また、対応可能な場合であったとしても、既存システム等の改良、新たな開発等による費用の増加等が発生する可能性があり、これらの動向及び対応によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ事業運営の障害となりうる技術が開発される可能性もあり、このような技術が広く一般に普及した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2 国際事業展開に関するリスク

当社グループは、収益機会の拡大に向けてグローバル展開を主要な経営戦略の一つとして掲げ、米州、欧州、アジア等の多くの地域でecを含む各種サービスを展開しています。また、国内外のユーザーが国境を越えて日本又は海外の商品及びサービスを購入するためのクロスボーダーサービス等も順次拡大しています。今後とも、在外サービス拠点及び研究開発拠点を拡大していくとともに、各国サービス間の連携強化等に取り組みながら、海外でのサービスの充実を図っていく予定です。

他方、グローバルにサービスを展開していく上では、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、経済的・政治的不安定性、通信環境や商慣習の違い等の様々なリスク及び特定の国や地域又はグローバルにおいて競争力を有する競合他社との競争が熾烈化するリスクが存在します。更には、外国政府及び国際機関により関係する諸規制が予告なく変更されるリスクも存在します。当社グループが、これらのリスクに対処できない場合、当社グループの国際事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、サービスの国際展開においては、サービスの立上げ時に、現地における法人設立、人材の採用、システム開発等に係る経費が発生するほか、既存サービスにおいても、法規制の変更への継続的な対応のための支出が見込まれることや、戦略的にビジネスモデルを変更する場合等においては、追加的な支出が見込まれることから、これらの費用が一時的に当社グループの収益を圧迫する可能性があります。また、新たなサービスが安定的な収益を生み出すためには、一定の期間が必要なことも予想されます。したがって、かかる投下資金の回収に一定の期間を要する又は出来ない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 事業の拡大・展開に関するリスク

(1)『rakuten』ブランドの展開、統合等の推進について

当社グループは、多様なサービス展開、広告宣伝活動等を通じて『rakuten』ブランドの確立を図っており、消費者等に対して一定の認知が得られているものと認識しています。また、事業規模の更なる拡大等を目的として、各サービスブランドの『rakuten』ブランドへの統合推進や、会員データベースの一元化、ポイントプログラムの共通化を媒介とした会員idの統合等も推進しています。ブランドの展開やブランド統合の認知度向上のための施策や費用については事前に十分な計画を立てていますが、思うような成果が現れず計画比で費用が超過する可能性もあります。また、統合したブランド名称やロゴ、会員idの変更に際しては既存会員のロイヤリティの低下や会員組織からの離脱を招く可能性もあり、これらの施策が期待通りの効果を得られない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、ブランド統合により、各サービスブランドの施策がグループ全体に影響を与えるため、一つのサービスブランドにおいて、サービス展開におけるトラブル、役職員による不正等が発覚し、当社グループのブランドの信頼性やブランド価値を棄損するような事案等が発生した場合、グループ全体に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 買収(m&a)等について  

 当社グループは、国外市場への進出、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、国内外を問わず積極的な買収(m&a)や合弁事業の展開を行っており、これらを経営の重要戦略として位置付けています。

 買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力諸リスクを回避するように努めていますが、案件の性質上時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性も否定できません。また、新規サービスの展開に当たってはその性質上、当該新規サービスによる当社グループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りにサービスが進展せず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は回収が出来ない可能性があります。          

 被買収企業の情報システムとの統合や内部統制システム等の統一等、被買収企業の役職員や顧客の維持・承継等が計画通りに進まない可能性や財政状態等に関して当社グループ全般にわたるリスクが拡大する可能性があります。

  また、合弁事業や業務提携の展開においても、パートナーとなる事業者について、経営成績や財政状態等について詳細な調査を行うとともに、将来の事業契約やシナジー効果について事前に十分に議論することによって、極力諸リスクを回避するように努めていますが、サービス開始後において経営方針に相違が生じ、期待通りのシナジー効果が得られないといった可能性も否定できません。かかる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は回収が出来ない可能性があります。

  この他、ベンチャー企業への投資等、様々な企業に対する投資活動を行っていますが、このような投資活動においても、経営環境の変化や投資先の業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられず、投下資本の回収可能性が低下する場合には、投資の一部又は全部が損失となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) サービス領域の拡大について

  当社グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが速いインターネットを軸とした多岐にわたる事業をサービス領域としています。新しいサービスを創出し、また時代の流れに即したビジネスモデルを構築する目的で、新規のサービス領域に参入を行っています。新規サービスを開始するに当たっては、相応の先行投資を必要とする場合があるほか、そのサービス固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因でも、当社グループのリスク要因となる可能性があります。

  新規に参入した市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性があります。また、サービスの停止、撤退等においては、当該事業用資産の処分や償却を行うことにより損失が生じる可能性があります。かかる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) のれんについて

  当社グループは、2013年12月期第1四半期連結会計期間から、連結財務諸表について国際会計基準(ifrs)を適用していますが、ifrsにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれんの定額償却は不要となります。他方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じており、その将来的な効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う必要があり、かかる場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

4 各サービスに関するリスク

(1) マーケットプレイス型のサービスについて

『楽天市場』のようなマーケットプレイス型のサービスや、『楽天トラベル』のような宿泊予約サービス、『rakuten rewards(旧ebates)』のようなオンライン・キャッシュバック・サービス等においては、取引の場を提供することをその基本的性格としています。マーケットプレイス型サービスの取引の場での健全性確保のため、偽造品その他の権利侵害品の排除等に努めていますが、当社グループは売買契約等の当事者とはならず、規約においても、販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者との間で生じたトラブルについて、当社グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めています。しかしながら、マーケットプレイス型のサービス等において、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合には、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループも取引の場を提供する者として責任を問われ、更には、当社グループのブランドイメージが毀損される可能性があります。また、マーケットプレイス型のサービスにおいては、参加する販売者・役務提供者が、他のマーケットプレイス、自社サイト等に容易に移行できるため、利便性、信頼性の高いシステムに加え、集客力に優れた取引の場を継続的に提供しなければ、販売者・役務提供者が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 直販型のサービスについて

  当社グループが一般消費者に対して商品・役務を直接提供する『楽天24』、『楽天モバイル』、『爽快ドラッグ』及び『ケンコーコム』、『楽天ブックス』、『楽天kobo』、『rakuten fashion』等のサービスにおいては、当社グループは売買契約等の当事者となり、商品・役務の品質、内容に責任を負っています。商品の販売、役務の提供に際しては、関係法令を遵守し、品質管理に万全を期していますが、欠陥のある商品を販売し、又は欠陥のあるサービスを提供した場合、監督官庁による処分を受ける可能性があるとともに、商品回収や損害賠償責任等の費用の発生、信用低下による売上高の減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、商品については、予測された需要に従って、購入及び在庫水準の管理等を行っていますが、想定した需要が得られない場合や、技術革新や他社商品との競争の結果、商品価格が大きく下落する場合は、棚卸資産として計上されている商品の評価損処理等を行う可能性があります。

 

 (3)  広告ビジネスについて

当社グループでは、デジタル広告等に関する広告ビジネスの売上高がグループ全体の売上に対して一定の比率を占めていますが、広告市場は特に景気動向の影響を受けやすいものと考えられることから、景気が後退した場合には広告主における予算配分の影響を受ける可能性があります。また、デジタル広告の分野においては技術の進展によって多様な広告手法が生み出されており、新規の参入者も多いことから激しい競争にさらされています。

更に、プライバシー保護の意識が世界的に高まっており、プライバシーに関する法規制の見直しも世界規模で活発であることから、それらの動きに呼応して広告配信にかかるプラットフォーム等の技術的な仕組みに大きな変化が生じ、その結果、従来可能であった広告手法に変化が生じる可能性があります。

かかる事業環境において、当社グループも、これらの競争や環境変化に対応するため、デジタル広告分野での技術開発を含む様々な施策を講じていますが、これらの施策が十分でない場合には、サービスの競争力を失い、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4)  デジタルコンテンツサービス及び映画事業について

  デジタルコンテンツの提供を行う電子書籍サービス、ビデオストリーミングサービス及びミュージックストリーミングサービスにおいては、コンテンツ素材を調達する際に、当社グループの提供するサービスフォーマットへの変換を要する場合があるほか、映像等の使用許諾に加え、ライセンサー等に対する事前の最低保証料等の支払いを求められる場合があり、かかる先行的な費用の支出が一時的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、コンテンツ収入が当該調達費用を下回る場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。映画事業については魅力的な映画製作に努めているものの、劇場用映画の興行成績は作品によって変動があり、十分な観客動員数を確保できない可能性や二次使用料を十分得ることができない可能性があります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (5)  物流サービスについて

  当社グループは、ユーザー及び出店企業の利用満足度を一層高めるべく、出店企業の物流業務の受託サービスの拡大等を通じた配送品質の向上にも注力しています。

  物流拠点の拡大については賃貸等を活用しており、倉庫内設備投資等に際しては、将来見込まれる受注量を予測して実施していますが、当該設備の構築、稼動開始までには一定の時間を要するため、かかる支出は先行的な投資になる場合があるほか、実際の受託業務での収益が予測を下回る場合には先行費用を補えず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、設備の移転、廃止等が決定された場合においては、当該資産の処分や償却を行うことにより損失が生じる可能性があります。

 また当社グループでは、物流サービスを中心に車両による営業活動を行っています。営業にあたり、人命の尊重を最優先とし安全対策に努めていますが、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、重大交通事故を発生させた事業者に対しては行政処分として車両の使用が停止される可能性があります。更に、「違反点数制度」により、事業所の営業停止や事業許可の取り消し等が行われ、事業が中断、中止するような事態となった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)金融サービスについて
① 法的規制等について

 当社、及び楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)、楽天ペイメント(株)等の金融サービスを提供する子会社においては、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」、「銀行法」、「利息制限法」、「貸金業法」、「割賦販売法」、「金融商品取引法」、「金融商品の販売等に関する法律」、「商品先物取引法」、「信託業法」、「保険業法」、「資金決済に関する法律」、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「宅地建物取引業法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」その他の法令、金融関連諸法規、監督官庁の指針、各金融商品取引所や業界団体等の自主規制機関による諸規則等の適用を受けています。サービスを提供するために必要な許認可につき、将来、何らかの事由により業務の停止、免許等の取消等があった場合、また、法令諸規則、監督官庁の政策、規制、監督指針が新設され、又はこれらにつき当該サービスにとって不利益な変更が行われた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

  楽天カード(株)の2007年12月31日以前の貸付契約のごく一部には、利息制限法上の上限利息を超過する利息の定めがあるため、何らかの要因により、楽天カード(株)の引当金算出の前提となる平均請求額等が増加する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 暗号資産(仮想通貨)交換業を行っている楽天ウォレット(株)は、経営基盤と業務体制の整備を行い、資金決済に関する法律に基づき2019年3月25日付で関東財務局への仮想通貨交換業者として登録を完了しました。仮に、今後監督当局より登録取消や業務停止等の行政処分を受けるに至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、暗号資産(仮想通貨)交換業は新しい概念を伴う業務であるため、法的規制及び業界の自主規制ルールが改正又は新たに制定される可能性があり、その場合、事業の縮小や追加コストの発生等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。この他に、楽天ウォレット(株)は犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づき本人確認の実施、取引記録の保存等を行っていますが、同法に適合しない事案が発生した場合には監督官庁による行政処分等を受けることがあり、その場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 事業環境について

  当社グループが営む金融サービスにおいては、クレジットカード決済等における加盟店契約業務を提供しており、加盟店からの手数料を収入源としているため、加盟店契約獲得の減退、競争激化による加盟店の流出等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。またクレジットカード、qrコード決済等の不正利用等の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  楽天カード(株)においては、主に個人顧客を対象とし、また、運転資金の調達を債権流動化と金融機関からの借入金等により賄っていることから、経済環境が悪化し、消費低迷による借入需要の減退、失業率の上昇による自己破産又は多重債務者の増加等が生じた場合、金融市場の情勢変化による金融機関の与信方針の変更があった場合、当社グループの信用状態が悪化した場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、貸倒リスクを軽減するための与信管理システムの維持・運営や、債権回収のノウハウを持つ人材の確保に重大な問題が生じた場合、サービス及び経営成績に支障が生じる可能性があります。

  楽天銀行(株)においては、有価証券が当該事業の運用資産の一部を占めており、運用収益に一定程度影響を及ぼす可能性があります。運用資産としては、貸出債権の他に、債券、証券化・流動化商品等の多様な金融商品での運用を行っています。金融商品の運用による収益は、金利、外国為替、市場変動、債務者の信用リスク等により大きく影響を受けることがあり、これらの運用により当該事業が損失を計上した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、貸出債権については、経済動向の悪化、債務者の信用状況の悪化、会計基準の変更、保証会社の信用状況の変化、保証履行状況の変化等により貸倒引当金及び保証料等与信関連費用が増加する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  楽天証券(株)においては、個人顧客を対象に、株式現物取引、株式信用取引、外国為替証拠金取引、投資信託販売、債券取引、先物・オプション取引、海外先物取引、商品先物取引等のサービスを提供しており、委託手数料をその主要な収入源としているため、証券市場等の金融市況の影響を受けています。金融市況は、経済情勢、世界各国の市場動向、政治動向及び規制動向、並びに投資家心理等の影響を受けており、市場低迷が生じた場合や、株式相場の急激な変動等に伴う信用取引高の減少及び顧客への信用取引貸付金等の未回収等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  楽天生命保険(株)においては、主に個人向け保障性生命保険商品を販売しており、保険契約者からの保険料収入を主な収入源としています。当該サービスは、保険料設定時の予測を超えた死亡率・入院率等保険事故発生率の増加、資産運用環境等の変化による運用資産価値の減少、新規契約の減少や解約契約の増加等による保有契約の著しい減少が生じた場合、また法令上求められる将来の保険金・給付金の支払いに備えた責任準備金がその前提となる状況の変化によって積立不足を生じ、繰入額の増加が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  楽天損害保険(株)においては、自動車保険、火災保険を中心に、さまざまなリスクを補償する損害保険商品を販売しており、保険契約者からの保険料及び資産運用による収益を主な収入源としています。このため、新規契約の減少や解約契約の増加等による保有契約の著しい減少が生じた場合、また安定した資産運用収益を得るため投資を行っている国内外の有価証券等について資産運用環境等の変化による運用資産価値の減少が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害の発生等により多額の保険金支払いが生じた場合に備えて再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っていますが、予測の範囲を上回る頻度や規模の保険金支払いが生じた場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  楽天ペイメント(株)においては、アプリ決済(qrコード決済)の提供、中小加盟店に対する小型端末を使ったクレジットカード決済等の提供等を通じて、加盟店からの手数料を主な収入源としており、競争激化による加盟店手数料率の低下や一時的な減免等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化により、利用促進のため多額のマーケティングコストを費やした場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  楽天ウォレット(株)においては、ビットコイン、イーサリアム等の暗号資産(仮想通貨)に係る交換所として取引サービスを行っていますが、暗号資産(仮想通貨)の取引価格は短期間に大きく変動することがあり、それに伴い取引需要も大きく変動することがあります。仮に取引需要が大きく落ち込んだ場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、暗号資産(仮想通貨)取引に関して、ifrsにおいて新たなルールや指針が明確化された場合、税務上の取扱の通達等により税務処理を変更することが必要となる場合等には、同様に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 資金流動性について

  楽天銀行(株)では、インターネット・バンキング・サービスを行っています。当該サービスにおいては、普通預金の引出し、定期預金の解約、他の金融機関への送金又は振込がインターネット上で行えるため、当該子会社及び当社グループのレピュテーションに影響を及ぼす風評が流布される等、不測の事態が発生した場合には、預金の流出が通常の銀行と比較して速いペースで進展する可能性があり、予想を超えた著しい資金流出が起こった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 顧客資産の管理について

楽天ウォレット(株)は、顧客の資産保全に向けて顧客から預託を受けた金銭を、信託口座を経由した銀行預金にて自己資金とは分離して管理を行っているほか、顧客保有分の全ての暗号資産(仮想通貨)をコールドウォレットで保管し、一部の通貨を除き秘密鍵も複数の署名を必要とするマルチシグネチャーで管理しています。また、二段階認証を採用しており、ログイン時、出金時、出庫時に二段階認証の設定を必須としています。しかし、仮にこれらのリスク管理措置が十分有効に機能せず、顧客の資産が流出等した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ リスク管理の有効性について

近年金融市場においては、市場の急激かつ大規模な変動や混乱がたびたび生じています。また、経済環境の急激かつ大規模な変動もしばしば生じています。楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)、楽天ペイメント(株)及び楽天ウォレット(株)は、こうしたリスクに対し、リスク管理方針及び手続を整備し運営していますが、リスク管理方針及び手続の一部は、金融市場において将来発生する種々のリスクを必ずしも正確に予測することができず、有効に機能しない可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 移動体通信事業者(mno)サービスについて

① 法的規制等について

楽天モバイル(株)が提供する本サービスは、通信事業に関する法律、規制の改廃、政策決定等による直接又は間接の影響を受ける可能性があります。これらの法令等の改廃、政策決定等により、同社のサービスの提供に制約等を受ける可能性があります。また、同社がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、行政機関から行政処分等を受ける可能性があります。かかる場合、同社及び当社グループの信頼性の低下、事業展開への制約等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 他の事業者との競争、市場や事業環境について

本事業の市場は、大手競合他社が存在し、また、仮想移動体通信事業者(mvno)との価格競争等が生じています。競合他社は強固な顧客基盤を有しており、その優位性を現状以上に活用しサービス等を展開する場合には、楽天モバイル(株)において、顧客を新規に獲得及び維持することが困難となり、また、同社及び当社グループが、期待通りにサービス及び関連商品を提供できない可能性があります。

また、通信事業者が提供するサービスの同質化やmvno各社による格安simサービス等の普及が進み、通信事業者が新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大する等、事業環境が大きく変化しています。かかる状況の下、他の事業者との競争、市場や事業環境の急激な変化等により、同社及び当社グループにおいて、計画通りの収益を獲得できない可能性があります。

 

③ 設備について

楽天モバイル(株)による移動体通信事業者(mno)サービスの開始、拡大には、基地局及び伝送・交換等を行う通信設備を設置するための地権者との協議、通信ネットワークを構築するための他事業者が保有する通信回線設備との連携、通信機器やネットワーク機器の調達等を行う必要がありますが、これらの協議等が想定通りに進まない場合には、同社が当該サービスを計画通りに開始できない可能性や、追加費用が発生する可能性があります。また、同社の想定を大きく上回る通信障害等の不測の事態が発生した場合や、サービスを提供するために必要な他事業者等との連携に想定よりも時間を要した場合には、顧客へのサービス提供の開始時期の遅延や、提供するサービスに制約を受けることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)第三者との業務委託、提携等について

① 金融機関等との委託、提携について

  当社グループが営む金融サービスは、(株)ジェーシービー、米国american express company、米国mastercard, inc.、米国visa, inc.等のクレジットカードの国際ブランド会社との契約に基づき提供していますが、提携先との関係が悪化した場合には経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 楽天銀行(株)は、独自のatm網を有していないため、atmの利用に関わる契約を締結している(株)三菱ufj銀行、(株)みずほ銀行、(株)セブン銀行、(株)ゆうちょ銀行、(株)イオン銀行等との関係が悪化した場合、これらの業務又はシステムに支障が生じた場合等には、当社グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 楽天ペイメント(株)は、提供している各種サービスにおいて多くの企業と提携しており、提携先との関係が悪化した場合には、当社グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが営む金融サービスでは海外における事業活動を遂行するために、現地の金融企業との業務提携を行っております。楽天銀行(株)は台湾においてibf financial holdings co., ltd.(旧 waterland financial holdings co., ltd)と共同で、銀行業務開始に向けた対応を行っております。楽天証券(株)はマレーシアにおいてkenanga investment bank berhadと合弁会社を設立し、証券業務を行っております。これら業務提携先との関係が悪化した場合、これらの業務に支障が生じた場合等には、当社グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 旅行関連事業者との連携について

  トラベルサービスにおいては、航空会社、鉄道会社との連携、グローバル化の推進等、国内外の旅行関連事業者との連携により、総合的な旅行関連サービスの強化を図り、サービスを展開していく方針ですが、提携先との関係が悪化した場合や新たな提携先との協議が順調に進まない場合には、当該事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。     

 

③ 電気通信事業者の相互接続協定について

  楽天モバイル(株)は、電気通信役務の円滑な提供のために他の電気通信事業者の通信設備と同社の通信設備を相互接続するための相互接続協定を結んでいます。現状において、電気通信設備を有する者は他事業者に対して原則として接続義務を有していますが、電気通信事業法等の改正等により、接続義務の撤廃や緩和等の措置が取られ、同社の負担すべき使用料、相互接続料等が増加する場合、又は同社にとって不利な形で条件変更がなされた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

④ 仮想移動体通信事業者(mvno)サービスの通信キャリア回線利用について

  楽天モバイル(株)が提供する『楽天モバイル』サービスは、同社が他の電気通信事業者の回線を借り受け、そのサービスを提供していますが、何らかの理由により、提携する電気通信事業者が回線の利用料を引き上げた場合や当該電気通信事業者との提携が終了するに至った場合等には、同社が提供するサービスに支障をきたす可能性があるほか、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 商品、コンテンツ、技術等の供給について

  当社グループは、直販型のサービスにおける販売商品、運営するウェブサイトにおける検索エンジンやニュース等の一部のコンテンツ、サービスに利用する技術等について、外部の事業者から供給又はライセンスを受けています。今後、当該事業者との関係の悪化、倒産、需要の増大、経済環境の変化、契約変更その他の要因により、供給が中断された場合、有力コンテンツを円滑に導入できなかった場合、供給価格が高騰した場合、ライセンスが停止された場合等には、サービス提供に支障をきたす可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 商品の配送について

 『楽天市場』等のマーケットプレイス型及び『楽天ブックス』等の直販型サービスでは、販売者から購入者への商品配送は、主に外部の配送事業者に依存しています。今後、配送料金の値上げ、配送条件の悪化等、配送に関するユーザー及び出店企業の満足度が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 コンプライアンスに関するリスク

(1) 法的規制等の適用の可能性について

当社グループの事業領域は多岐にわたっており、様々な国・地域で活動しているため、事業活動に関連する法令・規制は、「4(6)①法的規制等について」及び「4(7)①法的規制等について」に記載のほか、個人情報・プライバシー保護、消費者保護、公正競争、汚職禁止、自然環境、労働環境、犯罪防止、開示・納税の適正、人権、輸出入、投資、為替に関する国内外の各種法令・規制・制度等、あるいは電気通信事業、運送業、資金移動業を含む各種業法など広範囲にわたっています。また、最近では、我が国等の政府において、いわゆるデジタル・プラットフォーマーとの取引条件等を明確化するための規制等が検討されています。 こうした法令の制定や改正、監督官庁による許認可の取消し又は処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又は改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受ける場合、又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、coo(chief operating officer)、function cco(function chief compliance officer:cooの下でグループ全体のコンプライアンスを統括する責任者)及び社内カンパニー制に基づくcompany compliance officerによりグループ横断的なコンプライアンスに対する取組を進め、グループリスク・コンプライアンス委員会及び取締役会へその取組状況を報告し、適正な職務執行を徹底するとともに、代表取締役社長直轄の独立組織である内部監査部及び子会社の内部監査部門による内部監査を実施しコンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っています。しかしながら、コンプライアンスに関するリスク(監督官庁の見解と当社グループの見解が異なるリスクを含む。)又は社会的に信用が毀損されるリスクは完全に排除できるものではなく、当社グループのみならず取引先に起因するものを含め、当社グループがこれらのリスクに対処できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 訴訟等の可能性について

 各種サービスの展開を図る上で、当社グループが販売者、購入者及びその他の利用者による違法行為やトラブルに巻き込まれた場合、又はシステム障害等によって販売者、購入者及びその他の利用者や消費者に対し損害を与えた場合等においては、当社グループに対して訴訟を提起される可能性、又はその他の請求を受ける可能性があります。携帯電話端末や電子書籍端末等については、その製造について提携企業への委託を行っているものの、製造物の欠陥等に伴う、損害賠償等の製造物責任等が当社グループに発生する可能性があります。また、当社グループのサービスに関連する技術革新のスピードが速く、新たに発生した又は今まで顕在化しなかったビジネスリスクによって、現在想定されない訴訟等が提起される可能性もあります。

 一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合に、当社グループの権利が保護されない可能性や、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。かかる場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。     

 

6 無形資産に関するリスク

 (1) 知的財産権等について

 当社グループは、特許権、商標権、著作権、ドメインネームその他の知的財産権の取得、又は知的財産権のライセンスを受けることで、当社グループが使用する技術、ブランド、コンテンツ等についての保護を、国内はもとより国際展開を進める各国においても図っていますが、知的財産権等が取得できずに当社グループが使用する技術、ブランド、コンテンツ等を保護できない場合、又は知的財産権のライセンスの取得等のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが使用する技術、ブランド、コンテンツ等について、知的財産権等の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性があり、また、将来当社グループによるサービスの提供等に関連する技術、ブランド、コンテンツの利用等に制限が課せられ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。   

 

7 マーケットに関するリスク

(1) 金利等変動リスク

  必要な事業資金について、銀行等からの借入等を行っている当社、楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)等においては、当該事業資金の調達が金利変動の影響を受ける可能性があります。また、一部の金融グループ子会社等においては、資金を有価証券、貸出金等で運用しています。このため、金利市場等の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 有価証券等の価格変動リスク

  当社グループは、有価証券、金銭信託等の金融商品を多く保有しています。これらの有価証券等は、金融商品市場における価格変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替変動リスク

  当社グループが行う外貨建投資及び外貨建取引は、経済動向を注視しつつ、為替変動リスクをヘッジすることを目指しています。しかし、当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債について、現地通貨で発生したものを、円換算した上で連結財務諸表を作成する際、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、その結果、外国為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

8 資金調達に関するリスク

  当社グループの締結しているローン契約、コミットメントライン契約等借入に係る契約には財務制限条項が規定されている場合もあり、当社グループの経営成績、財政状態又は信用力が悪化した場合には、これらの条項に基づき既存借入金の一括返済、金利及び手数料率の引上げ、担保権の設定等を迫られる可能性があります。今後の資金調達については、金融市場が不安定な場合や、当社グループの信用力の悪化により格付機関から当社に付与されている信用格付が引き下げられた場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループのサービス展開の制約要因となる可能性があるほか、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

9 繰延税金資産に関するリスク

  当社及び一部の連結子会社においては、ifrsに基づき、将来における税金負担額の軽減効果を繰延税金資産として計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する見積りを含めた様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果はかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。将来課税所得の見積りが下方修正されたことに伴い、当社及び当該子会社における繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合や、税制及び会計基準の変更が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  

 

10 財務報告に関するリスク

 当社グループは、信頼性の高い財務報告を作成するため、「金融商品取引法」が定める内部統制報告制度に基づき、財務報告に係る内部統制を整備し、その評価を実施しています。しかしながら、当社グループの内部統制が適切に機能しない、内部不正を阻止できない等、重要な不備が発見された場合、当社グループの社会的信用が低下し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

11 人材に関するリスク

 当社グループのサービスにおいては、インターネットや金融をはじめとした各サービス分野において専門性を有する人材が必要であり、今後とも業容拡大及び国際展開に応じて継続した人材の確保を行うことが欠かせません。今後、各サービス分野及び地域における人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材の獲得が困難となる場合や、在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社の創業者で、代表取締役会長兼社長である三木谷浩史が離職又は業務執行が困難となるような事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

12 情報セキュリティ、システム及び通信ネットワークに関するリスク

  当社グループは、運営する各種サービスにおいて、住所、氏名、電話番号、クレジットカード番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しています。当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、情報セキュリティマネジメントシステム(isms)の認証取得を含め、ciso(chief information security officer)を中心に、グループ全体としてリスク管理を徹底し、適切な情報管理を行っていますが、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらが発生した場合に法的紛争に巻き込まれる可能性があるほか、内外監督官庁からの処分を受ける可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループサービスの多くは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されていますが、通信ネットワークに生じた障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウエアもしくはソフトウエアの不具合・欠陥、コンピュータウィルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や役職員の過誤等により、正常なサービスの提供に支障を生じる可能性があるほか、当社サービスの不正な利用、重要なデータの消去、不正取得等が発生する可能性もあります。

 これら事由によるサービスの停止や機能低下が生じた場合、収益機会の喪失、当社グループのシステム自体への信頼性低下及びそれにより顧客・取引先の離反を招くこと又は損害賠償請求等が生じる可能性のほか、監督官庁からの処分等を受ける場合があり当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 更に、当社サービスの不正な利用については、適切な求償先を求めることができない場合、当社グループの損害となります。かかる場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  

 

13 災害等のリスク

 地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、感染症の拡大(パンデミック)、国際紛争等が発生した場合、当社グループのサービス運営、その経営成績等に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 これらの災害等が発生する場合には、社会全体の経済活動が停滞する結果、当社グループの提供するサービスに対するニーズが減少する可能性があります。また、当社グループの主要な拠点において、これらの災害等が発生する場合には、当社グループの事業活動自体が困難になる結果、やむを得ずサービスの提供等の制約を受け又は停止せざる得ない可能性もあり、かかる場合には、直接的な経営ダメージに加え当社グループの信頼性やブランドイメージが毀損する可能性があり、これらが当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループにおいては、これらの災害等が発生した場合に備え、事業継続計画(bcp)等の有事の際の対応策を策定していますが、災害等の規模がその想定を超える場合には、サービスの継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。   

 

14 気候変動に関するリスク

  気候変動は、気候パターンの変化や、異常気象のリスクにより当社グループの事業に影響を及ぼしています。近年日本を直撃する大型台風の影響により、楽天損害保険(株)における保険金支払い等の発生で同社は営業損失を計上しています。また、台風の影響により楽天市場等と関連する物流サービスにおける配送・配達遅延が生じる可能性があります。

 

15 事務・オペレーションリスク

 当社グループは、業務の遂行において各種情報システムの活用や担当者以外の第三者が業務内容を二重に確認する再鑑制度の実施等、業務の正確性、効率性を高めるための様々な取組を実施しています。しかしながら、一部においては専用の情報システムが導入されておらず人的な対応に委ねられている業務もあり、役職員の誤認識、誤操作等により事務手続きのミスが発生する可能性があります。業務の性質によっては、事務手続きのミスが安定的なサービスの供給の妨げ、経済的な損失、個人情報等の流出等に繋がる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、社内規範や事務手続きの標準化及び文書化に取り組んでいますが、当社グループの急速な拡大に伴う事務量の増加、新サービスの導入等により、業務遂行に必要な知識の共有、継承が不十分になる可能性があり、その結果生じ得る事務手続きのミスの増加や生産性の低下が、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

16 風評リスク

 当社グループを対象に、各種メディア等を通じ当社グループに関する様々な内容の報道や情報が流布しています。これら報道や情報の流布については、必ずしも正確な情報に基づいていないものや、憶測に基づいたものも含まれていますが、それらの内容の正確性や当社グループの該当有無に関わらず、当社サービスの利用者や投資者等の認識又は行動に影響を及ぼす可能性が考えられます。これらの報道や情報の流布の内容、規模等によっては、当社グループの事業、経営成績及び株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

経営指標の推移
(1) 連結経営指標等

 

回次

第19期

第20期

第21期

第22期

第23期

決算年月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

売上収益

(百万円)

713,555

781,916

944,474

1,101,480

1,263,932

税引前当期利益又は損失(△)

(百万円)

94,076

74,458

138,082

165,423

△44,558

当期利益又は損失(△)

(百万円)

45,885

38,435

110,488

141,889

△33,068

当期包括利益

(百万円)

52,725

20,106

100,981

124,452

△42,818

親会社の所有者に帰属する持分

(百万円)

666,111

682,391

683,181

774,473

735,672

総資産額

(百万円)

4,269,953

4,604,672

6,184,299

7,345,002

9,165,697

1株当たり親会社所有者帰属持分

(円)

467.65

478.40

507.32

572.83

542.43

基本的1株当たり当期利益又は損失(△)

(円)

33.50

26.96

80.03

105.43

△23.55

希薄化後1株当たり当期利益又は損失(△)

(円)

33.25

26.74

79.28

104.38

△23.55

親会社所有者帰属持分比率

(%)

15.6

14.8

11.0

10.5

8.0

親会社所有者帰属持分当期利益率

(%)

8.4

5.7

16.2

19.5

△4.2

株価収益率

(倍)

41.9

42.5

12.9

7.0

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

78,245

30,700

162,056

145,615

318,320

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△224,078

△26,841

△203,718

△67,569

△286,290

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

221,831

45,200

194,458

208,418

458,340

現金及び現金同等物の

期末残高

(百万円)

501,029

548,269

700,881

990,242

1,478,557

従業員数

(名)

12,981

14,134

14,845

17,214

20,053

 

(注) 1 国際会計基準(以下、ifrs)により連結財務諸表を作成しています。

2 売上収益には、消費税等は含まれていません。

3 期中の平均株式数については日割りにより算出しています。

4 第23期の株価収益率については、当期損失が計上されているため記載していません。

5 従業員数には、使用人兼務取締役、派遣社員及びアルバイトは含んでいません。

6 当社グループは保険事業の保険契約準備金に関して、従来、日本において適用されている保険契約に関する法令に定める保険負債の測定方法を適用していましたが、第21期より、市場金利に基づいた割引率により保険負債を測定し、貨幣の時間価値を反映するために、保険負債の帳簿価額に対して発生した利息を純損益に、それ以外の割引率の変動に伴う保険負債の変動額をその他の包括利益に認識する方法に変更しています。これに伴い、第19期及び第20期の関連する主な経営指標等について、当会計方針の変更を遡及適用した数値を記載しています。

 

事業内容 / ビジネスモデル
3 【事業の内容】

当社グループは、「インターネットサービス」、「フィンテック」及び「モバイル」の3つを報告セグメントとしています。

これらのセグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっています。

「インターネットサービス」セグメントは、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』をはじめとする各種ecサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテンツサイト等の運営や、これらのサイトにおける広告等の販売、プロスポーツの運営等を行う事業により構成されています。

「フィンテック」セグメントは、インターネットを介した銀行及び証券サービス、クレジットカード関連サービス、生命保険サービス、損害保険サービス及び電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されています。

「モバイル」セグメントは、通信及びメッセージングサービスの提供等を行う事業により構成されています。

また、次のセグメントは、連結財務諸表の注記に掲げる「セグメント情報」の区分と同一です。

当社グループの提供する主なサービス及びサービス主体は次のとおりです。 

 インターネットサービス

提供する主なサービス

主なサービス主体

インターネット・ショッピングモール『楽天市場』の運営

楽天(株)

インターネット上の書籍等の販売サイト『楽天ブックス』の運営

楽天(株)

インターネット上のゴルフ場予約サイト『楽天gora』の運営

楽天(株)

インターネット総合旅行サイト『楽天トラベル』の運営

楽天(株)

生活用品や日用品を取り扱うec関連サービスの提供

楽天(株)

ファッション通販サイト『rakuten fashion』の運営

楽天(株)

フリマアプリ『ラクマ』の運営

楽天(株)

オンライン・キャッシュバックサービスの運営

ebates inc.

図書館等への電子書籍配信サービスの提供

overdrive holdings, inc.

電子書籍サービスの提供

rakuten kobo inc.

パフォーマンス・マーケティング・サービスの提供

rakuten marketing llc

 

 

 フィンテック

提供する主なサービス

主なサービス主体

クレジットカード『楽天カード』の発行及び関連サービスの提供

楽天カード(株)

インターネット・バンキング・サービスの提供

楽天銀行(株)

オンライン証券取引サービスの提供

楽天証券(株)

損害保険事業の運営

楽天損害保険(株)

生命保険事業の運営

楽天生命保険(株)

 

 

 

モバイル

提供する主なサービス

主なサービス主体

移動通信サービスの提供

楽天モバイル(株)

光ブロードバンド回線サービス『楽天ひかり』の運営

楽天モバイル(株)

電力供給サービス『楽天でんき』の運営

楽天モバイル(株)

ip電話サービス、クラウドサービス等の提供

楽天コミュニケーションズ(株)

モバイルメッセージング及びvoipサービスの提供

viber media s.a.r.l.

 

 

 

[事業系統図]

以上に述べた内容を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

決算(通期)
【第23期(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)】

当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかに回復しているものの、先行きについては、通商問題の動向、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動の影響等について留意する必要があります。日本経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、企業の設備投資や個人消費の増加を受け、緩やかに回復しています。

総務省が発表した情報通信白書(注) によると、インターネットをはじめとする情報通信技術(ict)の発展・普及がもたらした新しい経済、そして社会の姿は「デジタル経済」と呼ばれるようになってきており、我が国は、その進化の先にある社会として、iot、ai等の革新的技術によって実現する、現在の情報社会の次の段階に位置付けられる「society 5.0」を展望しているとされています。

このような環境下、当社グループは、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネスの展開、ai等を積極的に活用したサービスの開発・展開を進めています。通信サービスにおいては、2020年4月に予定する第4世代移動通信システム(4g)本格サービス開始に向け、基地局の開設等を進めるとともに、同年6月に予定する第5世代移動通信システム(5g)サービス開始に向け、実証実験等を実施しています。

インターネットサービスの主力サービスである国内ecにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進に加え、「楽天エコシステム」のオープン化戦略、自社物流網の整備・強化等に注力しました。海外インターネットサービスにおいては、各サービスの「rakuten」ブランドへの統合を進め、積極的な販促活動を通じて、海外におけるブランド認知度の向上及び事業の拡大を進めました。投資事業においては、ライドシェアビジネスに係る株式投資の株式評価益等を計上した結果、当連結会計年度の株式評価益は75,120百万円となりました。

フィンテックにおいては、『楽天カード』会員基盤の拡大に伴うショッピング取扱高やリボ残高が伸長し、売上収益及び利益の増加に貢献したほか、銀行サービスにおいては、ローン残高の伸長に伴う貸出金利息収益の増加や事務の効率化等により、マイナス金利政策の環境下にもかかわらず、売上収益及び利益拡大が続いています。証券サービスにおいては、国内株式市場の伸び悩みを背景とした手数料収入の減少等により減収減益となりました。

モバイルにおいては、世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークを提供する携帯キャリア事業として、2020年4月に予定するサービス開始に向け、基地局の開設等を進めるとともに、2019年10月より、音声・データ通信サービスを無償でご利用いただける「無料サポータープログラム」を、約5,000名を対象に開始しました。これに伴い、当第4四半期連結会計期間より有形固定資産の減価償却費、他社回線ローミングエリアにおける回線使用料等が発生しています。「無料サポータープログラム」については、2020年1月に最大20,000人の追加募集を行い、ネットワークサービスエリアでの利用を通じて、安定性の検証を含めた品質の向上に努めています。また、仮想移動体通信事業者(mvno)サービス『楽天モバイル』、メッセージング及びvoipサービス『rakuten viber』においても、会員基盤の拡大に伴い、売上収益が大幅に増加しています。

この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益は1,263,932百万円(前連結会計年度比14.7%増)、non-gaap営業利益は95,129百万円(前連結会計年度比41.0%減)となりました。

(注)総務省「令和元年版 情報通信白書」

 

(non-gaapベース)

     (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2018年1月1日

至2018年12月31日)

(自2019年1月1日

至2019年12月31日)

売上収益

1,101,480

1,263,932

162,452

14.7

%

non-gaap営業利益

161,130

95,129

△66,001

△41.0

%

 

 

 

②  non-gaap営業利益からifrs営業利益への調整

当連結会計年度において、non-gaap営業利益にて控除される無形資産の償却費は8,764百万円、株式報酬費用は10,137百万円となりました。また、米国地域において固定資産の減損損失など3,483百万円を非経常的な項目として計上しました。なお、前連結会計年度は、株式会社オーネットの全株式譲渡等により28,110百万円を非経常的な項目として計上しています。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

 

(自2018年1月1日

至2018年12月31日)

(自2019年1月1日

至2019年12月31日)

non-gaap営業利益

161,130

95,129

△66,001

無形資産償却費

△10,982

△8,764

2,218

株式報酬費用

△7,833

△10,137

△2,304

非経常的な項目(△は損失)

28,110

△3,483

△31,593

ifrs営業利益

170,425

72,745

△97,680

 

決算(直近四半期)
【第24期第3四半期(自  2020年7月1日  至  2020年9月30日)】

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1)  経営成績の分析

当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下、non-gaap指標)及びifrsに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。

non-gaap営業利益は、ifrsに基づく営業利益(以下、ifrs営業利益)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、non-gaap指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産の償却費等を指します。

      (注) non-gaap指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(u.s. securities and exchange commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。

 

当第3四半期連結累計期間の経営成績(non-gaapベース)

当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられています。日本経済においても、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善により、世界経済と同様の動きが続くことが期待されています。一方で、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響には引き続き注意が必要です。こうした中、厚生労働省は通販や電子決済の活用を含む、感染症拡大防止のための「新しい生活様式」の実践を求めており、人との接触機会を減らしながら、商品を購入、サービスを享受することが出来るインターネットサービスや、ネット金融サービス等を提供するit企業に期待される社会的役割は一層増していると当社は考えています。

 

このような環境下、当社グループは、国内外70以上の多様なサービスにより構成される楽天エコシステムを活用した事業経営により、感染症の影響による事業リスクの分散を図るとともに、引き続き、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネスの展開、ai等を積極的に活用したサービスの開発・展開を進めています。

インターネットサービスの主力サービスである国内ecにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略、送料込みラインの統一施策の導入、自社物流網の整備・強化等に注力しました。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛が段階的に解除され、旅行予約サービスや、プロスポーツサービス等において売上収益は前四半期比で大きく改善しましたが、前年同期比では減少しています。一方で、「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりにより、『楽天市場』等のサービスにおいては、依然高い水準で取扱高が成長しています。海外インターネットサービスにおいては、国内と同様にインターネット旅行予約サービスや小売業の取扱高減少の影響を受けましたが、デジタルコンテンツサービス等の取扱高が伸長しました。

フィンテックにおいては、2020年6月に『楽天カード』会員数が2,000万人を突破して以降も、会員基盤の拡大が続いており、オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、売上収益及び利益の増加が続いています。銀行サービスにおいても、2020年6月に900万口座を突破以降も、新規口座獲得数が堅調に伸長したことで、役務取引等収益などの増加が売上収益の増加に貢献しています。証券サービスにおいては、新規口座開設数の大幅な増加が続くと同時に、国内株式売買代金、fx売買高の伸長に伴い、手数料収入が増加したこと等が、売上収益及び利益の増加に貢献しました。

モバイルにおいては、2020年4月の本格的なサービスの開始後、9月には5gのサービスを開始しました。2020年6月に100万回線を突破後も楽天エコシステム内外からの顧客獲得が進んでいます。同サービスにおいては、基地局の開設を加速化させ、自社回線によるサービス提供エリアの拡大を進めるとともに、ネットワークの品質向上等に努めています。

 

これらにより、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,040,190百万円(前年同期比14.8%増)、non-gaap営業損失は79,377百万円(前年同期は127,336百万円の営業利益)となりました。

 

(non-gaapベース)

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期 連結累計期間)

(当第3四半期 連結累計期間)

売上収益

905,781

1,040,190

134,409

14.8

%

non-gaap営業利益又は損失(△)

127,336

△79,377

△206,713

%

 

 

non-gaap営業利益からifrs営業利益への調整 

当第3四半期連結累計期間において、non-gaap営業利益で控除される無形資産の償却費は7,910百万円、株式報酬費用は8,036百万円となりました。また、当第3四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、overdrive holdings, inc.の全株式を譲渡したことに伴い発生した売却益40,926百万円及び一部の米国事業の閉鎖に伴う固定資産の減損等が含まれています。

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

 

(前第3四半期 連結累計期間)

(当第3四半期 連結累計期間)

non-gaap営業利益又は損失(△)

127,336

△79,377

△206,713

無形資産償却費

△6,855

△7,910

△1,055

株式報酬費用

△7,514

△8,036

△522

非経常的な項目

34,804

34,804

ifrs営業利益又は損失(△)

112,967

△60,519

△173,486

 

 

当第3四半期連結累計期間の経営成績(ifrsベース)

当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,040,190百万円(前年同期比14.8%増)、ifrs営業損失は60,519百万円(前年同期は112,967百万円の営業利益)、四半期損失(親会社の所有者帰属)は71,471百万円(前年同期は14,117百万円の損失)となりました。

 

(ifrsベース)

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期 連結累計期間)

(当第3四半期 連結累計期間)

売上収益

905,781

1,040,190

134,409

14.8

%

ifrs営業利益又は損失(△)

112,967

△60,519

△173,486

%

四半期利益又は損失(△)(親会社の所有者帰属)

△14,117

△71,471

△57,354

%

 

 

(2)  セグメント別業績

各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、ifrs上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をnon-gaap営業損益ベースで表示しています。

 

(インターネットサービス)

主力サービスである国内ecにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略等に注力しました。また、包括的な物流サービスを提供する「ワンデリバリー」構想のもと、自社物流施設への楽天市場出店店舗商品の受入れ拡大やラストワンマイルにおける自社配送エリアの拡大等、自社物流網の整備・強化に努め、配送業者による物量制限、配送料金値上げによる影響の中長期的な緩和を図るとともに、送料込みラインの統一施策の導入により、顧客と楽天サービス出店者双方の利便性向上に注力しています。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛をきっかけとした「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりにより、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』や医療品・日用品等の通信販売等を行う『rakuten 24』などにおいては、引き続き取扱高に押し上げの効果が見られました。インターネット旅行予約サービスの『楽天トラベル』においては、外出自粛が段階的に解除されるなか、政府の実施した「go to トラベル事業」等の効果もあり、国内宿泊等の取扱高を中心に前四半期比で売上収益の改善が見られたほか、コスト効率化等の施策により利益も改善しました。スポーツサービスにおいても、プロ野球公式戦、サッカーリーグ戦の入場者数制限を受け、売上収益が減少したものの、段階的な規制緩和が行われるなかで、収益の改善が見られます。海外インターネットサービスにおいては、インターネット旅行予約サービスや小売業の取扱高減少の影響を受けましたが、『楽天kobo』等のデジタルコンテンツサービス等の取扱高が伸長しました。

この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は607,110百万円(前年同期比8.2%増)、セグメント損失は3,961百万円(前年同期は114,039百万円の利益)となりました。

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期 連結累計期間)

(当第3四半期 連結累計期間)

セグメントに係る売上収益

561,092

607,110

46,018

8.2

%

セグメント損益

114,039

△3,961

△118,000

%

 

 

 

(フィンテック)

クレジットカード関連サービスにおいては、2020年6月に『楽天カード』会員数が2,000万人を突破して以降も、会員基盤の拡大が続いており、宿泊・飲食サービスなどでは依然消費に厳しさがみられますが、オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、売上収益及び利益の増加が続いています。銀行サービスにおいても、2020年6月に900万口座を突破以降も、新規口座獲得数が堅調に伸長したことで、役務取引等収益などの増加が売上収益の増加に貢献しています。証券サービスにおいては、新規口座開設数の大幅な増加が続くと同時に、国内株式売買代金、fx売買高の伸長に伴い、手数料収入が増加したこと等が、売上収益及び利益の増加に貢献しました。

この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は425,727百万円(前年同期比20.3%増)、セグメント利益は63,391百万円(前年同期比24.5%増)となりました。

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期 連結累計期間)

(当第3四半期 連結累計期間)

セグメントに係る売上収益

353,995

425,727

71,732

20.3

%

セグメント損益

50,933

63,391

12,458

24.5

%

 

 

(モバイル)

モバイルにおいては、2020年4月の本格的なサービスの開始後、9月には5gのサービスを開始しました。2020年6月に100万回線を突破後も楽天エコシステム内外からの顧客獲得が進んでいます。同サービスにおいては、基地局の開設を加速化させ、自社回線によるサービス提供エリアの拡大を進めるとともに、ネットワークの品質向上等に努めています。

この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は128,583百万円(前年同期比54.2%増)、セグメント損失は140,294百万円(前年同期は33,472百万円の損失)となりました。

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期 連結累計期間)

(当第3四半期 連結累計期間)

セグメントに係る売上収益

83,386

128,583

45,197

54.2

%

セグメント損益

△33,472

△140,294

△106,822

%

 

 

 

(3)  財政状態の分析

(資産)

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は10,953,840百万円となり、前連結会計年度末の資産合計9,165,697百万円と比べ、1,788,143百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が資金調達等により1,098,628百万円増加証券事業の金融資産410,230百万円増加有形固定資産233,482百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は10,274,670百万円となり、前連結会計年度末の負債合計8,428,497百万円と比べ、1,846,173百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金969,037百万円増加証券事業の金融負債463,559百万円増加社債及び借入金415,948百万円増加したことによるものです。

 

(資本)

当第3四半期連結会計期間末の資本合計は679,170百万円となり、前連結会計年度末の資本合計737,200百万円と比べ、58,030百万円減少しました。これは主に、当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期損失を71,471百万円計上したこと等により利益剰余金79,753百万円減少したことによるものです。

 

 

(4)  キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,098,628百万円増加し、2,577,185百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、848,109百万円の資金流入(前年同期は105,792百万円の資金流入)となりました。これは主に、証券事業の金融資産の増加による資金流出が410,307百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が968,928百万円、証券事業の金融負債の増加による資金流入が463,678百万円となったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、147,249百万円の資金流出(前年同期は204,496百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が37,220百万円(有価証券の売却及び償還による資金流入が361,595百万円、有価証券の取得による資金流出が324,375百万円)となった一方で、有形固定資産の取得による資金流出が189,568百万円、無形資産の取得による資金流出が72,764百万円となったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、400,855百万円の資金流入(前年同期は238,701百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が260,802百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が354,167百万円、短期借入金の増加による資金流入が193,425百万円、コマーシャル・ペーパーの増加による資金流入が163,500百万円となったことによるものです。

 

(5)  経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6)  研究開発活動

当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。

 当第3四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は7,277百万円です。

 

(7)  従業員数

当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。

 

(8)  生産、受注及び販売の実績

① 生産実績及び受注実績

当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産及び受注に該当する事項が無いため、生産及び受注実績に関する記載はしていません。

② 販売実績

当社グループは当第3四半期連結累計期間において、販売実績の著しい増減はありません。

 

(9)  主要な設備

当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。

 

経営方針

当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会に力を与えること(エンパワーメント)を経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していきます。グローバル イノベーション カンパニーであり続けるというビジョンのもと、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を目指します。

戦略

主な経営指標として、全社及び各事業の売上収益、non-gaap営業利益、流通総額(商品・サービスの取扱高)、会員数及びクロスユース率等のkpi(key performance indicator)を重視し、成長性や収益性を向上させることを目指します。

課題

「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」企業グループとして、事業環境の変化に柔軟に対応し、持続可能な成長に向けた仕組を構築することが、当社グループの対処すべき課題です。長期にわたる持続的な成長により、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を図るとともに、社会全体に便益をもたらすグローバル イノベーション カンパニーであり続けることを目指します。

 

①事業戦略

当社グループが保有するメンバーシップ、データ、ブランドを核とする「楽天エコシステム」において、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、グループ収益の最大化を目指します。

ec及び旅行予約をはじめとしたインターネットサービスにおいては、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得、クロスユースの促進に加え、「楽天エコシステム」のオープン化戦略、自社物流網の整備・強化等に注力することで、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指します。

クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス、保険サービス、電子マネーサービス等を提供するフィンテックにおいては、事業間の相乗効果の創出、クロスユースの促進、aiや音声認識等のテクノロジーとの融合を通じた一層の成長を目指します。また、キャッシュレス決済においては、2018年4月に経済産業省により策定された「キャッシュレス・ビジョン」の中で、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることが目標とされ、その一環として2019年10月1日には、消費税引き上げにあわせたキャッシュレス決済に対するポイント還元施策が導入されました。これらを背景に、当社グループにおいては、決済サービス導入箇所の拡大や、qr・バーコード決済、電子マネー、ポイントを含む総合的なキャッシュレス決済の推進に取組むとともに、決済サービスプラットフォーム構想の実現に向け、これらの決済手段を統合したペイメントアプリの機能拡充に引き続き注力します。

モバイルにおいては、2018年4月に総務省より認定を受けた第4世代移動通信システム(4g)の普及のための特定基地局の開設計画及び2019年4月に認定を受けた第5世代移動通信システム(5g)の導入のための特定基地局の開設計画に則り、世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブネットワークの構築を行いました。今後は、全国区におけるネットワークの展開を進め、信頼性の高い通信サービスの提供を行うとともに、顧客基盤の拡大に取り組んでまいります。また、5gにおいては、あらゆるモノがインターネットに繋がるiotの進展に伴い、その基盤となる通信ネットワークの重要性が飛躍的に増大することが予想されるなかで、「超高速」、「超低遅延」、「多数同時接続」といった5gの特性を活かした社会課題の解決が期待されており、当社グループにおいては、5gを2020年代の社会インフラとして、消費者の利便性の向上のみならず、様々な分野における活用や新ビジネスの創出を通して、社会的諸課題の解決、地方創生等に貢献していくことを目指します。

また、c2c(消費者間取引)事業、シェアリングエコノミーサービス、広告事業、投資事業といった新たなビジネスポートフォリオの強化、ディープラーニング(深層学習)等のaiの活用に引き続き注力することで、現状にとらわれないイノベーションに不断に挑んでいきます。

こうした個々のビジネスの成長や事業間シナジーの最大限の追求に加え、当社グループが持つメンバーシップやデータ、『楽天ポイント』等の活用による革新的なマーケティング手法の確立、世界共通の会員idやロイヤルティプログラムを提供するグローバルidプラットフォームの構築、サービスブランド統合、「fcバルセロナ」、nba「ゴールデンステート・ウォリアーズ」等とのパートナーシップを通じたブランド価値向上等により、今後も「楽天エコシステム」を国内のみならずグローバルでも拡大していきたいと考えています。このためにはグローバル経営を一層強化する必要があり、経営資源配分の最適化を図るための事業ポートフォリオの見直しをはじめ、技術開発のグローバルでの最適化等に向けた体制強化へも力を入れていきます。

 

②経営体制

当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていきます。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置付け、様々な施策を講じています。

当社は、監査役会設置会社であり、経営の監査を行う監査役会は、過半数が社外監査役によって構成されています。また、当社は、経営の監督と業務執行の分離を進めるため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。

当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役及び社外監査役を中心に、客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営について多角的な議論を自由闊達に行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。また、取締役及び監査役を中心に、グループ経営戦略等に関するロングミーティングを取締役会とは別に開催しており、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない、中長期的視野に立った議論を行っています。

加えて、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するために社内カンパニー制を導入しています。

当社グループでは、今後もこうした取組を通じて、迅速な経営判断を可能にし、より実効性の高いガバナンス機能を有する経営体制を構築していきます。

 

沿革

 

2 【沿革】

1997年2月

オンラインコマースサーバーの開発及びインターネット・ショッピングモール『楽天市場』の運営を行うことを目的として、資本金1,000万円にて東京都港区愛宕1丁目6番7号に株式会社エム・ディー・エムを設立

1997年5月

インターネット・ショッピングモール『楽天市場』のサービスを開始

1998年8月

本社を東京都目黒区祐天寺2丁目8番16号に移転

1999年6月

株式会社エム・ディー・エムより、楽天株式会社へ社名変更

2000年4月

日本証券業協会に店頭登録

2000年5月

本社を東京都目黒区中目黒2丁目6番20号に移転

2001年3月

『楽天トラベル』のサービスを開始

2002年11月

『楽天スーパーポイント(現 楽天ポイント)』のサービスを開始

2003年9月

宿泊予約サイトを運営するマイトリップ・ネット株式会社を子会社化

2003年10月

本社を東京都港区六本木6丁目10番1号に移転

2003年11月

ディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券株式会社(現 楽天証券株式会社)を子会社化

2004年9月

株式会社あおぞらカード(現 楽天カード株式会社)を子会社化

2004年11月

日本プロフェッショナル野球組織(npb)(現 一般社団法人日本野球機構(npb))による東北楽天ゴールデンイーグルス新規参入承認

2004年12月

株式会社ジャスダック証券取引所(現 東京証券取引所jasdaq(スタンダード))に上場

2005年9月

linkshare corporation(現 rakuten marketing llc)を子会社化

2007年8月

ip電話事業を運営するフュージョン・コミュニケーションズ株式会社(現 楽天コミュニケーションズ株式会社)を子会社化

2008年4月

本社を東京都品川区東品川4丁目12番3号に移転

2009年2月

イーバンク銀行株式会社(現 楽天銀行株式会社)を子会社化

2010年1月

ビットワレット株式会社(現 楽天edy株式会社)を子会社化

2010年7月

アメリカにおいてecサイトを運営する buy.com inc. (現 rakuten commerce llc)を子会社化

2010年7月

フランスにおいてecサイトを運営するpriceminister s.a.(現 rakuten france s.a.s.)を子会社化

2012年1月

グローバルに電子書籍サービスを展開するkobo inc.(現 rakuten kobo inc.)を子会社化

2012年6月

スペインにおいてビデオストリーミングサービスを提供するwuaki. tv, s.l.(現 rakuten tv europe, s.l.u.)を子会社化

2012年10月

持分法適用関連会社であったアイリオ生命保険株式会社(現 楽天生命保険株式会社)を子会社化

2013年9月

グローバルにビデオストリーミングサービスを展開するviki, inc.を子会社化

2013年11月

東北楽天ゴールデンイーグルスがプロ野球日本シリーズ初優勝

2013年12月

東京証券取引所市場第一部へ上場市場を変更

2014年3月

グローバルにモバイルメッセージングとvoipサービスを展開するviber media ltd.を子会社化

2014年10月

北米最大級の会員制オンライン・キャッシュバック・サイトを展開するebates inc.を子会社化

2014年10月

携帯電話サービスに本格参入、『楽天モバイル』を提供開始

2015年8月

本社を東京都世田谷区玉川一丁目14番1号に移転

2016年11月

「fcバルセロナ」と2017-2018シーズンからの「グローバルメインパートナー」及び「グローバル イノベーション & エンターテインメント パートナー」契約で基本合意

2017年6月

楽天lifull stay株式会社を設立、民泊事業に参入

2017年7月

ケンコーコム株式会社と株式会社爽快ドラッグが合併し「rakuten direct株式会社」誕生

2017年7月

デジタルマーケティングソリューションを提供する楽天データマーケティング株式会社設立

2017年9月

「ゴールデンステート・ウォリアーズ」と2017-2018年シーズンからの包括的なパートナーシップ契約を締結

2018年3月

朝日火災海上保険株式会社(現 楽天損害保険株式会社)を子会社化

2018年4月

楽天モバイルネットワーク株式会社(現 楽天モバイル株式会社)の特定基地局開設計画(1.7ghz帯割当)について総務大臣より認定

2019年4月

楽天モバイル株式会社の特定基地局開設計画(3.7ghz帯及び28ghz帯割当)について総務大臣より認定

2019年8月

『楽天ウォレット』が暗号資産(仮想通貨)の現物取引サービスを開始

2019年10月

『楽天モバイル』が携帯キャリア事業としてのサービスを開始

 

配当政策

 

3 【配当政策】

株主還元については、中長期的な成長に向けた投資や財務基盤の安定化のための内部留保の充実を勘案しつつ、安定的・継続的に配当を行うよう努めています。必要となる株主資本の水準については、以下の考え方を基本としています。

 

・拡大する事業機会を迅速かつ確実に捉えるために必要な財務基盤を整えておくこと

・事業活動及び資産のリスクと比較して充分であること

・安定的な資金調達を行う上で必要な格付けを維持すること及び監督規制上求められる水準を充足していること

 

当事業年度につきましては、2020年2月13日開催の取締役会において、利益剰余金を配当原資とし、1株当たり4.5円(前事業年度は1株当たり4.5円)とすることを決定しました。

また、当社における剰余金配当の決定機関は取締役会です。剰余金配当は期末配当による原則年1回の配当を基本方針とし、その他会社法第459条第1項各号に定める事項については、経営環境等の状況を勘案の上で判断していきます。

なお、自己株式の取得につきましては、株主価値の向上に資する財務政策として、機動的に判断していきます。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当金は、以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2020年2月13日

取締役会決議

6,103

4.50

 

 

 (参考)1株当たり配当額の推移

回次

第19期

第20期

第21期

第22期

第23期

決算年月

2015年12月

2016年12月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

1株当たり配当額(円)

4.50

4.50

4.50

4.50

4.50

 

 

株式の状況
②  【発行済株式】

 

種類

事業年度末現在

発行数(株)

(2019年12月31日)

提出日現在

発行数(株)

(2020年3月27日)

上場金融商品取引所

名又は登録認可金融

商品取引業協会名

内容

普通株式

1,434,573,900

1,434,573,900

東京証券取引所(市場第一部)

単元株式数は100株です。

1,434,573,900

1,434,573,900

 

(注)  提出日現在の発行数には、2020年3月1日からこの有価証券報告書提出日までに発行された株式数は、含まれていません。

 

 

(5) 【所有者別状況】

2019年12月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満株式の状況(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

1

57

69

963

743

1,827

252,361

256,021

所有株式数(単元)

1,170

2,139,464

198,642

2,511,829

3,788,175

30,638

5,674,360

14,344,278

146,100

所有株式数の割合(%)

0.01

14.92

1.38

17.51

26.41

0.21

39.56

100.00

 

(注) 自己株式78,318,938株は、「個人その他」に783,189単元、「単元未満株式の状況」に38株含めて記載しています。

 

(6) 【大株主の状況】

2019年12月31日現在

氏名又は名称

住所

所有株式数(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)

合同会社クリムゾングループ

東京都港区赤坂1丁目14-5アークヒルズ・エグゼクティブタワーn211

226,419,000

16.69

三木谷 浩史

東京都港区

176,346,300

13.00

三木谷 晴子

東京都渋谷区

132,625,000

9.78

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

東京都港区浜松町2丁目11番3号

61,102,900

4.51

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)

東京都中央区晴海1丁目8-11

46,108,000

3.40

northern trust co.(avfc)sub a/c non treaty(常任代理人 香港上海銀行東京支店 カストディ業務部)

50 bank street canary wharf london e 14 5nt, uk(東京都中央区日本橋3-11-1)

31,879,381

2.35

jp morgan chase bank 380055(常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)

270 park avenue, new york, ny 10017, united states of america(東京都港区港南2-15-1品川インターシティa棟)

24,968,856

1.84

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口7)

東京都中央区晴海1丁目8-11

20,053,100

1.48

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5)

東京都中央区晴海1丁目8-11

18,066,200

1.33

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

大阪府枚方市岡東町12-2

17,162,000

1.27

754,730,737

55.65

 

(注) 上記のほか当社所有の自己株式78,318,938株があります。

 

役員の状況

b. 当社を主要な取引先とする者若しくはその業務執行者又は当社の主要な取引先(※2)若しくはその業務執行者

c. 当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう。)

d.  当社の総議決権の10%以上を実質的に有する者又はその業務執行者

e. 最近においてaからdまでのいずれかに該当していた(※3)者

f.  上記aからeまでのいずれかに掲げる者の近親者又は当社若しくは当社子会社の業務執行者(最近まで業務執行者であった者を含む。)の近親者(社外監査役を独立役員として指定する場合は、当社又は当社子会社の業務執行者でない取締役又は会計参与の近親者を含む。)

 

※1:会社法施行規則第2条第3項第6号の業務執行者をいい、業務執行取締役のみならず使用人も含む。

※2:当社との取引額等を基準とし、当社からの支払額が当社売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計額の1%以上を占める場合をいう。

※3:当該独立役員を社外取締役又は社外監査役として選任する株主総会の議案の内容が決定された時点において、aからdまでのいずれかに該当していた等、実質的に現在と同視できるような場合をいう。 

  社外取締役4名のうち、久夛良木健氏には主にエンタテインメント事業及び技術分野における専門知識や幅広い企業経営の経験から、sarah j. m. whitley氏には投資家としての幅広い知見と経験から、御立尚資氏には主に経営コンサルタントとしての専門知識や経験から、また、村井純氏には主にインターネット技術に関する学識経験者としての専門知識や経験から、当社の企業価値を向上させるための経営に対する助言等を頂けるものと判断し、選任しています。

  社外監査役3名のうち、平本公秀氏には主に金融事業、企業経営等に関する幅広い知識と経験を、平田竹男氏には主にスポーツ、教育等に関する幅広い知識と経験を、山口勝之氏には主に企業法務に精通した弁護士としての専門知識や幅広い経験、を当社の監査体制に活かして頂けるものと判断し、選任しています。

  社外取締役及び社外監査役へは、取締役会の資料を事前に送付し、各部署から必要に応じて事前説明や協議等を実施しています。また、社外監査役は、前述のとおり、内部監査部及び会計監査人と積極的に意見交換を行い、連携を図っています。